沖縄の伝統工芸のひとつに琉球ガラスがあります。琉球ガラスは工芸品の中でも人気が高く、国際通りのウィンドウには赤や青、気泡を蓄えたものまで色とりどりのグラスが所狭しと並んでいます。
今でこそ人気の高い琉球ガラスですが、その歴史は意外に浅く、現在のような生産が行われるようになったのは戦後のことだそうです。そして現在、数ある製造所の中で一番古い歴史を誇るのが奥原硝子製造所です。
1952年、ガラス職人の奥原盛栄氏と、島袋栄松氏が戦前からあるガラス工場を引き継いで「奥原硝子製造所」をスタートさせました。当時の主な買い手は在沖縄アメリカ駐留兵でした。彼らは生活の器としてガラス製品を多く取り入れていたからです。しかし、注文は入るものの資源に乏しい沖縄ではガラスの原料を入手することがとても困難でした。そこで奥原氏が目を付けたのが米軍の捨てたコーラの瓶やビール、ワインの瓶でした。それらの瓶を砕いて再生してガラスの原料に用いたのです。
50年代後半になると、米軍の本国への土産として注目を集め、60年代にはアメリカへの輸出も始まります。そして1975年、沖縄海洋博覧会を機に国内での観光土産品として定着しました。
現在親しまれている色つきのガラスや、泡ガラスといわれるものは、こうした過程で客のニーズに応えていくための試行錯誤の結果生まれたものなのです。
2001年には奥原硝子製造所のガラス職人、桃原正男氏が「卓越した技術者/現代の名工」に選ばれ、琉球ガラスは沖縄の伝統工芸としての地位を着実に歩んでいったのです。
現在、沖縄県内には多くのガラス製造所や工房があり、日々多くのガラス製品が生産されています。その中でも奥原硝子製造所は、今でも原料ガラスではなく再生ガラスにこだわって製品を作っています。
トックリキワタ珈琲店では、コールドドリンクを提供する2種類のグラスを奥原硝子製造所にお願いして作っていただきました。再生ガラスならではのポテッとした風合いは季節を問わず皆様の手になじんでくれることと思います。
ちなみに、当店のグラスは主に泡盛の酒瓶が再利用されてできているそうです。トックリキワタの別名は「酔っ払いの木」です。なんだかカフェというより居酒屋チックになってまいりましたが、当店では奥原硝子製造所のグラスでアイスコーヒーや水出し珈琲、スムージーなどをご提供いたします。(ビールもワインもお出ししますけどね。)
奥原硝子製造所
沖縄県那覇市牧志3-2-20 てんぶす那覇2F
TEL:098-832-4346
URL:kogeikan.jp